『人は悪魔に熱狂する』
タイトルの題名、表紙のビジュアルがなんとも目を引きます。ビジネス書のコーナーでは少し浮いて見えたのもあり、本屋で衝動買いをしました。
この本はデータサイエンティストとして活躍する著者が、データだけでは分からない商品がヒットした理由をデータサイエンスに加え、37個の「認知心理学」「行動経済学」の視点から解説してくれます。
この本における「悪魔」というのは犯罪などの行為をさすものではなく、仏教における「煩悩=悪」(貪(欲望)、瞋(怒り)、痴(愚かさ)、慢(怠惰)、疑(不信)、悪見(偏見))と定義しています。
アンケート通りの商品を作ったのに売れない。アンケートとは違う商品がヒットした。
それは人間が嘘をつくからです。
人間が人間であるがゆえに生まれる「矛盾」「歪み(バイアス)」を知る良い機会となりました。
著書紹介
著者:松本健太郎
出版社:毎日新聞出版
発行年2020年7月15日
なぜ?
- マクドナルドが行ったアンケートでヘルシーな料理が欲しいとみんなが回答したのに、サラダマックは期待したほど売れず、肉々しいクォーターパウンダーはヒットしたのか。
- グレタさんは未来のために温暖化を防止しようとしているのになぜ世界の大人たちが、大人げなく反応し怒っているのか。
- ホリエモンやトランプ大統領など歯に衣着せぬ言葉を発する人たちは、アンチがいる一方で、なぜあんなに信者がいるのか。
- ルフィーや炭次郎など王道の主人公ならともかく、いわゆるクズ人間のカイジが人気なのはなぜか。
- 血液クレンジングなどのいわゆるニセ科学がなぜはやるのか?
- しいたけ占いが今なんでこんなにはやったのか。
感想
人間というのは本当に欲深い人間なのだなと思いました。数多くのバイアスが本の中で紹介されていましたが、多くのバイアスが私自身にも当てはまり、私自身も欲深い人間の1人なのだなと少し恥ずかしくなるところもありました。
ただこの本は単に「人間は欲深い愚かな奴だ」と言っているのではなく、「欲深く愚かで怠惰」であることを肯定しています。人間がそういった矛盾があるからこそ世間にはありとあらゆるヒット商品や「熱狂」が生まれるのだなと知ることができました。
つい相手が間違っていると批判したくなってしまうものですが、間違いや感覚のずれというのは人間である以上必ず生じてしまうもの。私はイライラしてしまうことが多いのですが、そこを受容し見つめなおすことで新たな発見やビジネスへの応用につなげていきたいと思いました。
コメント